第40回日本脊髄外科学会に参加しました!

第40回日本脊髄外科学会に参加して


― 「知行合一」の理念のもと、脊髄外科の未来を展望 ―


2025年6月12日(木)から13日(金)にかけて、秋田市にて開催された第40回日本脊髄外科学会に参加しました。今年の学会テーマは「知行合一」。知識と行動を一致させ、実臨床に根差した脊髄外科の発展を目指すという、非常に示唆に富んだメッセージが込められていました。


会場は秋田キャッスルホテルおよびにぎわい交流館AU。落ち着いた雰囲気の中で、全国から集まった脊椎・脊髄外科の専門家たちと活発な意見交換がなされ、東北の自然と伝統文化に囲まれながら、学問的にも人間的にも大変充実した時間を過ごすことができました。


学会全体の大きな柱は「エビデンスの構築と標準治療の検証」。症例蓄積にとどまらず、多施設共同研究、前向き研究など、質の高い脊髄外科医療を全国的に推進するための取り組みが紹介され、極めて実践的かつ未来志向の議論が展開されていました。


本学会の会長を務められたのは、秋田県立病院機構 脳脊髄センター 脊髄脊椎外科診療部 部長 菅原卓先生。その力強くも温かいリーダーシップのもと、40回目という節目にふさわしい記念大会となりました。


発表内容紹介


今回の学会では、以下の3演題を発表させていただきました。


■ シンポジウム「頭蓋頚椎移行部動静脈瘻の治療戦略:多施設共同試験の結果から」


全国多施設から収集した111例の頭蓋頚椎移行部AVF(CCJAVF)症例を後方視的に検討し、発症形式(SAH vs. 無症候)による治療選択と成績の差異を報告しました。早期治療介入の意義治療法の選択アルゴリズムについて提言しました。


■ ランチョンセミナー「脊髄外科手術における止血と硬膜閉鎖の方法」


高周波バイポーラによる精緻な止血吸収性マトリックスを用いた硬膜閉鎖技術など、実際の手術での工夫を紹介。術後合併症を防ぐための基本に立ち返った内容として、臨床現場での応用が期待されます。


■ シンポジウム「神経モニタリングを駆使した脊髄髄内腫瘍摘出術の実際」


MEPおよびD-waveを用いた術中モニタリング30例の解析結果を報告。波形変化の臨床的意味と予後との相関性について考察し、機能温存を前提としたモニタリング戦略の有効性と課題について共有しました。


今回の学会参加を通じて、脊髄外科の現在地と未来の方向性を改めて確認することができました。引き続き、臨床・研究・教育の三位一体で脊髄外科の発展に貢献してまいります。